傷だらけの天使
私は中学生の頃「傷だらけの天使」を夢中になって見ていた。興味の対象がゴジラや仮面ライダーからビートルズやストーンズに、欲しいものが十段変速の自転車からギターやアンプに、行動範囲が自転車で行ける所から、電車で行ける所に、見たいものが、おっぱいから、パンツの中の・・・
自分の中の感じ方や、価値が大きく変わって行く時期に見ていたので、非常に印象深く、自分の一部の様に感じてしまう。
最近このビルの前を通りかかった時、ネットに近々取り壊しと書いてあった事を思い出して、記念に写真を撮っていたら、知らないおっさんに「あんたもファン?」と声をかけられる。軽く雑談をして別れて、一階の営業している、そば屋さんの横で写真と撮っていると、このビルの関係者らしき人に声をかけられる。
「傷だらけの天使」のファンで、取り壊される前に記念撮影をしている事を説明すると、こんな話をしてくれた。
「いやね〜ファンの間じゃ、そんな話になってるらしいけど、二年前にネットに流れた事だろ?去年の夏位から世界中がどうかしちまっただろ?その影響で取り壊しも、立て直しも宙に浮いたままさ。今でも営業してる店が2軒、営業こそしてないが権利を売っていない店が数件。何しろここには地上げ屋が9軒も絡んでるから、まとまる話もまとまらないから〜しばらく取り壊しは無いから、安心して見に来なよ!」
色んな意味で安心出来る話ではないが「傷だらけの天使」の世界観に良く合う話で、カビと埃と下水の匂いがするなか、無人の店舗の中から黒電話のベルの音か響いていた。
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